屈托《くったく》の為めに欝屈《うっくつ》せる脳力が、適宜の娯楽によりて完全なる働きを取り戻した時こそは、他界の指導者が働きかけるのに、まさに絶好の機会なのである。そうした際には、上界の天使達の威力も思うがままに加わり、いかに兇暴なる魔軍といえども、到底これに一指を染め得ないであろう。折角の大祭日が暴飲暴食と、賭博と、淫楽とに空費せらるることは、たまたま地上の人類が、いかに神霊上の知識に欠けているかを証明するもので、われ等としては全能力を挙げて、その刷新と改善とに当らねばならぬ。
[#ここから2字下げ、折り返して3字下げ]
問『終日労役に服した後で、幽明交通を試むるのも、決して理想的でないと思うが、しかし日曜日は、却って一層心霊実験に適当せぬらしい…………。』
[#ここで字下げ終わり]
 日曜日の不利[#「日曜日の不利」に白丸傍点]――げに日曜日は、われ等に取りて好適な日とは言われない。精神肉体がその緊張を失えば、その反動として安逸性が加倍し、われ等として、之《これ》を使役して新規の現象の作製を試むる事は、大いに憚《はばか》らねばならぬ。殊《こと》に物理的の心霊現象の作製には甚《はなは》
前へ 次へ
全104ページ中53ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
浅野 和三郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング