――霊媒能力が種々雑多に分れることは、わざわざ断わるまでもあるまい。或る種の霊媒は、単にその一種特別の体質の為めに選ばれる。つまりそれ等の人達の肉体組織が、外部的客観的の霊的表現を行うに適当しているのである。彼等は精神的には殆《ほとん》ど何等の能力もない。たまたま背後の支配霊達が、何等《なんら》かの通信を行うことはありても、その内容は通例|末梢《まっしょう》的の些事《さじ》にとどまり、時とすれば取るに足らぬ囈語《げいご》やら、とり止めのない出鱈目《でたらめ》やらでさえもある。この種の霊媒は、専ら霊の存在を証明する為めに用いられる。肉眼には見えない他界の居住者が、彼等の肉体を利用して、客観的の現象を作製することができるからである。
 要するにこの種の霊媒は、初歩の心霊現象を作る為めの機関に過ぎない。が、そうかと言って、彼等の仕事がつまらないということにはならない。信仰の基礎工事は、実に彼等によりて築かれるのである。
 それから又一部の霊媒達は、その性質が善良で慈悲深い為めに、霊界の選抜に与《あず》かる彼等は多くの場合に於《おい》て、物理的心霊現象の用具とはなり得ない。又最初は、霊界との意
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