には、あまり面白いとは言われないのである。
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問『食物の欠乏から来る心身の衰弱は如何?』
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節制第一[#「節制第一」に白丸傍点]――われ等の推奨する所は、ただ節制の一語に尽きる。肉体が食物の補給を必要とするは勿論《もちろん》なれど、ただそれが完全に消化した上でなければ、交霊実験を試みてはならぬ。次に又精神肉体が睡眠を求め、休養を求むる時にも、又疾病苦悩に煩わされて居る時にも、われ等の認可を受けた上でなければ、成るべく、交霊を差控えるがよい。同様に肉体が食物で充填し切って居る時も、兎角下級霊の為めに先手を打たれ勝ちで甚《はなは》だ困る。かの物理的心霊現象でさえもが、そうした場合に起るのは、概してお粗末で、精妙優雅の要素に欠けている。何《いず》れにしても、極端に走るのが良くない。断食の為めに消耗し切っている肉体も、少しも使いよいとは言われないと同時に、暖衣飽食によりて、えごえごしている肉体も甚《はなは》だ面白くない。友よ、若《も》しも我等の仕事を容易ならしめ、最良最上の成績を挙げんとならば、須《すべか》らく交霊会には肉体が健全円満で、感覚が敏活で、其《その》上心が受動的である理想的な一人物を連れ来れ。その時は予想以上の花々しい仕事ができる。更に又|座《サークル》を組織する立会人達の気分が、充分調和していてくれれば一層申分がない。交霊会の席上に出現する燐光でさえもが、右にのぶる如き好条件の下にありては、青く冴え亘って煙がない。之に反して条件が悪ければ其《その》光が鈍く汚く燻《くすぶ》っている。
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註――当時モーゼスの交霊会上には沢山の燐光が現われ、好条件の時にはその色が透明で、青味がかった黄色であり、然《しか》らざる時は赤っちゃけて燻《くすぶ》っていたとの事である。
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(評釈) 爰《ここ》に説いてある所は、正に幽明交通に関する、最も親切にして、要領を掴める虎の巻と称しても、決して過言でないと思う。心霊実験に何の理解も経験もない者は、きまり切って霊媒のみを責め、すべてがこれに掛っているように考えるが、これは飛んでもない心得違いである。環境が悪ければ、いかなる名霊媒だって施す術がない。それは恰度《ちょうど》空中放電その他
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