卜居
津村信夫に
堀辰雄
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)谿谷《けいこく》になっていて
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)一家|団欒《だんらん》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)自分の椅子[#「自分の椅子」に傍点]
〔〕:アクセント分解された欧文をかこむ
(例)端西などで 〔Cha^let〕 というのだろうか
アクセント分解についての詳細は下記URLを参照してください
http://aozora.gr.jp/accent_separation.html
−−
この家のすぐ裏がやや深い谿谷《けいこく》になっていて――この頃など夜の明け切らないうちから其処《そこ》で雉子《きじ》がけたたましく啼き立てるので、いつも私達はまだ眠いのに目を覚ましてしまう程だが、――それでも私はその谿谷が悪《にく》くなく、よく小さな焚木《たきぎ》を拾いがてらずんずん下の方まで降りていったりする。その谿谷の丁度向う側にある、緑色の屋根をした大きなヴィラが、いまはまだ木の枝を透いて手にとるように見える位。その谷間の雑木林はやっと芽を
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