っては古代人の死に対する観念をひとつの形象にして表わしてくれているようなところがあるのでありましょう。いつごろからそういう古代人の死の考えかたなどに僕が心を潜めるようになったかと云いますと、それは万葉集などをひらいて見るごとに、そこにいくつとなく見出される挽歌《ばんか》の云うに云われない美しさに胸をしめつけられることの多いがためでした。このごろ漸《ようや》くそういう挽歌の美しさがどういうところから来ているかが分かりかけて来たような気がします。
先ず、古代人の死に対する考えかたを知るために、あの菖蒲池古墳についてかんがえて見ます。あの古墳に見られるごとき古代の家屋をいかにも真似たような石棺様式、――それはそのなかに安置せらるべき死者が、死後もなおずっとそこで生前とほとんど同様の生活をいとなむものと考えた原始的な他界信仰のあらわれ、或いはその信仰の継続でありましょう。しかし、僕たちが見たその古墳のように、その切妻形の屋根といい、浅く彫上げてある柱といい、いかにもその家屋の真似が精妙になってきだすのと前後して、突然、そういう立派な古墳というものがこの世から姿を消してしまうことになったのです
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