い旅などをしたことはない。いつ、どこで、寝こむかも分からないような心細さで、旅に、出てくるのだよ。まあ、それなりにだんだん旅慣れてはきたけれど。……
主 そうか。あんまり無理をするなよ。――ああ、もうすっかり暗くなってしまったね。すこし冷え冷えとしてきたようだから、窓をしめようね。
底本:「昭和文学全集 第6巻」小学館
1988(昭和63)年6月1日初版第1刷発行
底本の親本:「堀辰雄全集 第3巻」筑摩書房
1977(昭和52)年11月30日初版第1刷発行
初出:「大和路・信濃路」は「樹下」「十月」「古墳」「斑雪」「辛夷の花」「浄瑠璃寺」「橇の上にて」「死者の書」の八篇から成る。
「樹下」:「文藝」
1944(昭和19)年1月号
「十月(一)」:「婦人公論」(「大和路・信濃路」の「一」として。)
1943(昭和18)年1月号
「十月(二)」:「婦人公論」(「大和路・信濃路」の「二」として。)
1943(昭和18)年2月号
「古墳」:「婦人公論」(「大和路・信濃路」の「三」として。)
1943(昭和18)年3月号
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