プルウストの文體について
堀辰雄

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)莢《さや》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#アステリズム、1−12−94]

〔〕:アクセント分解された欧文をかこむ
(例)〔de'ferlait〕
アクセント分解についての詳細は下記URLを参照してください
http://www.aozora.gr.jp/accent_separation.html
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 散文の本質といふものは、自分の考へをどんな風にでも構はずに表現してしまふところにある、と言つてもいいやうであります。スタンダァルにしろ、バルザックにしろ、さういふ意味での、本當の散文家でありました。それから、いまお話ししようとするプルウストも、さういふ散文家の最もすぐれた一人であります。
 プルウストの文體は、一見しますと、いかにも書きつぱなしのやうで、混亂してゐて、冗漫に見えるのであります。しかし、それだからと言つて、その文體そのものを非難する訣には行きません。プルウ
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