させようと思った。が、御物忌《おものいみ》やら何やらでなかなかそれを殿に御目にかける事が出来ないでいるらしかった。一方、頭の君は頭の君で、こちらの返事のいつまでもないのをしきりに怨《うら》んで入らっしゃるらしかった。仲に立って、道綱は一人で殆ど困っていた。ようやく殿の御返事のあったのを見ると、「おれがどうしてそんな事をまだ許すものか。そのうち考えて置こう、と右馬頭には言って遣っただけだ。返事はお前が好いように取做《とりな》せ。そんな姫のいる事さえ誰もまだ知ってはいない位だのに、若《も》しそんな右馬頭でもそちらに通ったりしてみろ、お前がおかしく思われてもしようがないぞ」といかにも心外な事らしく仰ゃって来られた。そんな事を言われれば、こちらだって腹が立つ。その腹いせのように、私はつい大人げなく頭の君にも「ちょっと殿の許に使いを遣りましたら、まるで唐土《もろこし》にでも行ったように長いことかかって、漸《ようや》く御返事をいただいて参りました。しかしそれを見ますと、ますます私には分かり兼ねる事ばかりなので、何んとも返事のいたしようがございませぬ」と手きびしい返事を書いてやった。そんな風にいつに
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