先入の意見が私に浮んでくるたびごとに、もし神が欲しさえすれば、私が精神の眼で極めて明証的に直観すると考えることにおいてすら、私が間違うようにすることは神にとって容易である、と告白せざるを得ないのである。とはいえ私は、私が極めて明晰に知覚すると信じるものそのものに私を向けるたびごとに、私はそれによってまったく説得せられ、かくておのずと次の言葉を発する、できる者は誰でも私を欺くが宜い、しかし、私が私は或るものであると思惟するであろう間は、彼は私が無であるようにすることは決してできないであろう、あるいは、私は有るということが現在真であるからには、私がかつて有らなかったということがいつか真であるようにすることは決してできないであろう、あるいはおそらくまた、二と三とを加えると五よりも大きいないし小さいとか、あるいはこれに類すること、すなわちたしかにそのうちに明白な矛盾を私の認めること、が生ずるようにすることはできないであろう、と。そして確かに私は何らかの神が欺瞞者であると見做すべきいかなる機会も有しないのであり、また実に何らかの神が存するかどうかを未だ十分に知らないのであるからして、単にこのよう
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