神の本性をいっそうよく証明するはずであるからである。しかしながらまた精神そのもののうちにはその本性の知識をいっそう判明になし得るものがこれ以上他に極めて多く存するのであり、かくてこれらの物体から精神の本性に推し及ぶものは、ほとんど数えるにあたらぬと思われる。
 かくて、見よ、遂に私はおのずと私の欲したところに帰って来たのである。すなわち、今や、物体そのものも本来は感覚によって、あるいは想像する能力によってではなく、もっぱら悟性によって知覚せられるということ、触れられることあるいは見られることによってではなく、ただ理解せられることによって知覚せられるということ、が私に知られたのであるから、私は何物も私の精神よりもいっそう容易に、またいっそう明証的に私によって知覚せられ得ないということを明瞭に認識するのである。しかしながら古い意見の習慣はそんなに速かに除き去られ得ないからして、私の省察の時間の長さによってこの新しい認識がいっそう深く私の記憶に刻まれるように、ここで立ち停まることが適当であろう。
[#改丁]

     省察三

  神について。神は存在するということ。

 いま私は眼を閉じ
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