第五省察においては、一般的に見られた物体的本性が説明せられるほか、また新しい根拠によって神の存在が論証せられる。しかしこの根拠にもおそらく或る困難が生ずるであろうが、これは後に駁論に対する答弁の中で解決せられるであろう。そして最後に、幾何学的論証の確実性さえも神の認識に依繁するということの、いかにして真であるかが示される。
 最後に、第六省察においては、悟性が想像力から分たれる。その区別の徴表が記述せられる。精神が実在的に身体から区別せられることが証明せられる。にもかかわらず精神が身体に、これと或る統一を成すほど密接に結合せられていることが示される。感覚から起るのを慣わしとするすべての誤謬が調査せられる。これを避け得る手段が開陳せられる。そして最後に、物質的なものの存在を結論し得る一切の根拠が提示せられる。それは、この根拠がまさに証明することがら、すなわち、世界は実際にあるということ、また人間は身体を有するということ、その他この類のことがらを証明するために、この根拠が極めて有益であると考えるからではない、かかることがらについては健全な精神を有する何人も決して本気に疑わなかったのである
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