は、実在的に区別せられる(定義一〇によって)。しかるに精神と物体とは実体であり(定義五、六、七によって)、そしてその一は他を離れて存することができる(たったいま証明せられたごとく)。ゆえに精神と身体とは実在的に区別せられる。
 註。私はここで神の力を媒介として使用したが、それは精神を身体から分離するために何らかの異常なカが必要であるからではなく、かえって私は前の諸定理においてただ神についてのみ取扱ったからして、他に使用し得るものを有しなかったゆえである。またいかなる力によつて二つのものが分離せられるかは、両者が実在的に異なっていると我々が認識するためには、無関係である。



底本:「省察」岩波文庫、岩波書店
   1933(昭和8)年12月20日第13刷発行
※原題の副題の「〔DE PRIMA PHILOSOPHIA, IN QUIBUS DEI EXISTENTIA, ET ANIMAE HUMANAE A` CORPORE DISTINCTIO, DEMONSTRANTUR.〕」は、ファイル冒頭ではアクセント符号を略し、「DE PRIMA PHILOSOPHIA, IN QUIBUS DEI EXISTENTIA, ET ANIMAE HUMANAE A CORPORE DISTINCTIO, DEMONSTRANTUR.」としました。
※「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に基づいて、底本の表記をあらためました。
その際、以下の置き換えをおこないました。
「恰も→あたかも 或いは→あるいは 如何→いか (て)戴→いただ 至って→いたって 一層→いっそう 恐らく→おそらく 拘らず→かかわらず 且つ→かつ 嘗て→かつて かも知れ→かもしれ 蓋し→けだし 此処・茲→ここ 如→ごと 毎→ごと 悉く→ことごとく 更に→さらに 然るに→しかるに 暫く→しばらく 直ぐ→すぐ 即ち→すなわち 是非→ぜひ 多分→たぶん 給→たま 何処→どこ 何れ→どれ 乃至→ないし 筈→はず 甚だ→はなはだ 殆ど→ほとんど 先ず→まず 復た→また 間もなく→まもなく (て)見→み 尤も→もっとも 専ら→もっぱら (て)貰→もら 故→ゆえ 僅か→わずか」
※読みにくい漢字には適宜、底本にはないルビを付した。
入力:京都大学電子テクスト研究会入力班(大石尺)
校正:京都大学電子テクスト研究会校正班(高柳典子)
2006年1月21日作成
2006年7月1日修正
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
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