字下げ]
(エレンが廊下から入つて來る)
[#ここで字下げ終わり]
[#ここから改行天付き、折り返して1字下げ]
エレン 奧さま――(ノラへ囁く、そして一枚の名刺を渡す)
ノラ (名刺を一瞥しながら)あつ! (名刺を隱袋に入れる)
ランク 何か變つたことですか?
ノラ いゝえ、何でもないの、たゞ――私の注文して置いた衣裳が來たのですよ――
ランク だつて衣裳はそこにあるぢやありませんか。
ノラ あ、そのはうはさうですよ。けれど、これはまた別なのです――注文して置いたのです――家に内緒なのですよ――
ランク あはあ、ぢや、大祕密なんですね。
ノラ えゝ、さうですとも。あなたちよつとトル※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]ルトの方へ行つてらつしやいよ、奧の部屋にゐますから。そして出來るだけ長く出て來ないやうに引き止めてゐて下さいな。
ランク 安心してらつしやい。ヘルマー君をしつかり掴まへときますから(ヘルマーの室へ行く)
ノラ (エレンの方へ)あいつは臺所で待つてるのかえ?
エレン はい、裏の階段から上つて參りまして――
ノラ 私、今、手が塞がつてるといへばよかつたのに。
エレン さう申
前へ
次へ
全147ページ中85ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
イプセン ヘンリック の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング