實在者も永遠的實在者の象徴となつた。このことはかなたの世において徹底と完成とを見るであらう。自然の盲目的抵抗は神の尊嚴と榮光とに變はるであらう。この世の藝術や知識は滅びるであらうが、神の言葉があらゆる形容を絶したる美しき淨き姿として響きとして、わが永遠の耳目を充たすであらうことを誰が否定し得ようか。この世においては文化的生の優越性に應じて觀念が權威を揮つた。愛が又永遠的實在性が唯一の存在であるかなたの世においては、神の神聖なる囘想力は却つてむしろこの世において輕んぜられた具體的個體的内容に復活の優先權を許すやも計られぬ。この世のままなる人倫的關係はかの世においては滅びるであらう。しかしながらこの世においてすでに神意を傳へ得たものは、かなたの世において更に明かに力強く同じ言葉を語るのではなからうか。かの世にての再會といふが如き通俗的信念も、無造作に根も葉もなき迷信として貶すことは、この世の智慧を恃んで神の眞實《まこと》を裏切る業であり得ぬと、誰が言ひ切りうるであらうか。
要するに、來らむ世においては、この世における人も物も、又人と物との交はりも、その形のままでは滅びる。しかしながら、そ
前へ
次へ
全280ページ中279ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
波多野 精一 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング