ものに對しては遺憾の念を抱くことさへすでに事理に背くであらう。文化的生においては囘想によつて過去は或る程度の克服を見現在の性格を得るであらうが、現在となつた過去は、すでに明かにした如く、主體の勢力範圍に屬し主體によつて處理され變更されうる事柄である。主體は進んでそれに善處しそれを善用し過ちは改め禍は轉じて福となせばよいのである。それ故責任は、それの本來の意義を徹底させれば、文化的生が許し難き又及び難き超越的なるものを指し示してゐる。責任は自己が動かし得ず處理しえぬ何ものかへ、從つて結局實在的なる他者へのそれでなければならぬ。眞實に純粹に絶對的に他者性を保つものは神聖者以外にはない故、責任は結局神に對してのみ成立つ事柄である。自己に對する責任について正當に語りうるのは、その自己が他者の、結局は、神聖者の象徴・神の言葉の意味を有する場合にのみ限られる。然らずして自己に對する責任について語るならば、それは自己實現の努力の目標を不正當に飾る言葉の綾に過ぎぬであらう。尊嚴と權威とをもつて何ものかが我に迫り來る時、當爲と命令とが從順と獻身とを我に要求する時にのみ、責任について正當に語られるのである
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