I特徴である。第四、時間性は主體と實在的他者との直接的關係交渉において成立つものとして、一方まつしぐらの沒頭を、他方主體性の本質をなす自己主張に加へられる拘束を意味する。これは主體が自己の任意なる自由なる決意や努力により取除かれ得る事態ではない。いかにとも致方なきいはば宿命的事態である。第五、生ずるは滅ぶるであり、有は無に等しく、生の意味の實現も達成されず、一切が果無き幻にをはる處、しかも主體がこの事態を自らの力をもつていかにともなし得ぬ處、には生の意味の否定、幸福の喪失、空虚の感、不安哀愁落膽等は避け難き歸結である。「永遠」は時の克服である限り生のこれらの特徴の絶滅を期せねばならぬであらう。
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(一) Lotze: Metaphysik. II, 3 參看。
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第二章 文化及び文化的時間性
一 文化
五
自然的時間性を根源とし基體として文化的時間性は成立つ。この時間性を理解するため、吾々はいま道を文化及び文化的生の一般的基本的構造の考察へと取らねばならぬであらう。
文化は實在
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