lはプラトンである。客觀的實在世界における存在が、一般的にいへば外面性・關係性(相對性)、立入つていへば空間性しかして特に時間性の支配の下に立ち(四)、かくて例へば美しくあるといへば、この處この時この點において又この人に對して美しくあるといふに過ぎず、從つて或は有り或は無く、或は生じ或は滅びるのとは全く異なつて、イデアは外面性・關係性を超越し、生じることも滅びることもなく、飽くまでも自己性及び自己同一性を、從つて純粹單純なる存在及び形相・眞實の存在及び形相を保つもの、否かくの如き存在及び形相そのものである(五)。しかして時間性の觀點よりみられたるかくの如き純粹的高次的存在のもつ性格こそ永遠乃至不死(〔aei on, athanaton, aio_n, aio_nion〕)である(六)。プロティノスはこの根本思想をそのままに繼承しつつ更に進んでイデア的存在者どもの全體を一つの世界、思惟的世界(〔kosmos noe_tos〕)、に取纒めたが、そのことに應じて永遠性の概念的規定において特に全體性に重點を置いた(七)。これは、吾々もすでに論じた如く、時間性の特徴が斷片性不完成性に存することを
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