狽s Gespra:ch. (Gesammte Schriften. Jubila:umsausg. III, S. 78 ff.)〕
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        二五

 目的論的論證は存在論的論證と異なつて主體と他者との關係より出發する。その際問題となる主體はもとより同樣に文化的主體であるが、存在論的論證がそれを自己性の純粹なる姿において一切を支配する單純なる力として取扱ひ、他者を考慮に入れる場合にも、それを主體の完成されたる純粹なる表現として從つて他者性を自己性に對してはあるとも無きに等しきものと看做す態度を取つたのと異なつて、この論證は他者を眞面目に考慮に入れる。他者は先づ客體であり、更にそれを實在的他者に歸屬せしめることによつて成立つ客觀的實在世界である。簡單にいへば、主體はここでは世界内存在において考察される。かくの如き觀點よりみられたる主體は他者において自己を實現する働きの中心乃至出發點である。すでに述べた如く活動こそそれの基本的性格である。文化的生をこの性格において把握するを特徴とする近世哲學において、特にこの論證乃至それの原動力をなす信念が顯著なる進
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