ゐる。そのことの歸結として、時は無際限の延長を見、かくて「無終極性」が時間性の性格として成立つてゐる。永遠性を意味する不死性は先づ差し當りこの形を取らねばならぬであらう。果せるかな、これはプラトン以來カントに至るまで歴史の主流として不死性の觀念が事實上取つた形なのである。
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(一) 一九節註二に引用された諸書及び次の諸書參看。Er. Rohde: Psyche. ―― J. Burnet: The socratic Doctrine of the Soul. (Essays and Addresses, P. 126 ff)
(二) 何らかの聯關を有するものを直ちに同一と考へることは原始民族の精神構造の特徴である。〔Le'vy−Bruhl〕 はこれを明かにした功績を有する。尤も氏がそれを 〔mentalite' pre'logique〕 と呼んだのは、氏自らの主張とはむしろ正反對に、却つて氏がヨーロッパ人式考へ方に囚はれてゐるを示す。現代文化人とは甚しく異なつた、場合によつては正反對なる考へ方をするといふことは、それが論理前であるといふこととは決して同じでない。少し
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