、お情交《なか》が好《い》いもんだから、何時《いつ》でも御一緒《ごいつしよ》で。岩「大層《たいそう》お忙《せわ》しさうで。婆「なに極楽《ごくらく》へ行《い》つて入《いら》つしやいましたが、近来《このごろ》極楽《ごくらく》も疲弊《ひへい》を仕《し》ましたから、勧化《くわんげ》をお頼《たの》まれで、其事《そのこと》で極楽《ごくらく》へ入《い》らしつたのでございませう。岩「極楽《ごくらく》の勧化《くわんげ》かえ、相変《あひかは》らず此方《こつち》へ来《き》てもお忙《いそ》がしい。婆「それに関口《せきぐち》さんと肥田《ひだ》さんは鉄道《てつだう》には懲《こ》りたと云《い》つて、何日《いつ》でもお馬車《ばしや》で。岩「何《なに》しろ奇態《きたい》なもので……。と云《い》つてゐる内《うち》に、慣《な》れないから足を踏外《ふみはづ》して三|途川《づのかは》へ逆《さか》トンボを打つてドブーリ飛込《とびこ》むと、岩「無無阿弥陀仏《なむあみだぶつ》。々々々《/\》々々々《/\》。女「実《じつ》に驚《おどろ》きました、彼《あ》んなお丈夫《ぢやうぶ》さまなお方《かた》が何《ど》うして御死去《おなくな》りになつたかと云《い》つて、宿《やど》の者《もの》も宜《よろ》しう申《まう》しました、嚥《さぞ》お力落《ちからおと》しで……。婆「有難《ありがた》う存《ぞん》じます、良人《やど》は平素《ふだん》牛肉《うし》などは三|人前《にんまへ》も喰《た》べました位《くらゐ》で……。女「おや、お待《ま》ちなさいまし、早桶《はやをけ》の中《なか》でミチ/\音《おと》が致《いた》しますよ。妻「魔《ま》が魅《さ》したのでせう。岩「明《あ》けておくれ/\、蘇生《よみが》へつたから明《あ》けてお呉《く》れ。岩「何《なん》とか云《い》ひますよ、お明《あ》けなさい。と云《い》ふから、早桶《はやをけ》の蓋《ふた》を取ると蘇生《よみがへ》つて居《ゐ》る。妻「あらまアお前《まへ》さん助かつたのかえ。岩「三途川《さんづのかは》へ落《おつ》こつて蘇生《よみが》へつた。妻「妙《めう》だね、ま嬉《うれ》しい。女「斯《こ》んなお芽出《めで》たい事はございませんね。岩「皆《みな》さんはお通夜《つや》のお方《かた》か、おや/\物騒《ぶつさう》だな、通夜《つや》の坊《ばう》さんが酒《さけ》に酔倒《ゑひたふ》れて居《ゐ》る、炮砥《はうろく》に線
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