も脱《ぬ》けて、此の頃ア板削《いたけずり》まで職人にさせるから、艶《つや》が無くなって何処となしに仕事が粗《あら》びて、見られた状《ざま》アねえ、私《わっち》が弟子に来た時分は釘一本|他手《ひとで》にかけず、自分で夜延《よなべ》に削って、精神《たましい》を入れて打ちなさったから百年経っても合口《えいくち》の放れッこは無かったが、今じゃア此のからッぺたの恒|兄《あにい》に削らせた釘を打ちなさるから、此ん通りで状《ざま》ア無《ね》い、アハヽヽ」
と打毀した棚に指をさして嘲笑《あざわら》いますから、兼松は気を揉んで、長二の袖をそっと引きまして、
兼「おい兄い何うしたんだ、大概《ていげえ》にしねえ」
と涙声で申しますが、一向に頓着《とんじゃく》いたしません。
長「才槌《せえづち》で二つや三つ擲って毀れるような物が道具になるか、大概《ていげえ》知れた事《こっ》た、耄碌しちゃア駄目だ」
と法外な雑言《ぞうごん》を申しますから、恒太郎が堪《こら》えかねて拳骨を固めて立かゝろうと致しますを、清兵衛が睨《にら》みつけましたから、歯軋《はぎしり》をして扣《ひか》えて居ります。
長「その証拠にゃ
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