の遺恨で殺したのか仔細は分らないが、無闇な事をする長二でないから、お採上《とりあ》げにならないまでも、彼奴《あいつ》が親孝心の次第から平常《ふだん》の心がけと行いの善《よ》い所を委《くわ》しく書面に認《したゝ》めて、お慈悲|願《ねがい》をしなけりゃア彼奴の志に対して済まないとは思いましたが、清兵衛は無筆で、自分の細工をした物の箱書は毎《いつ》でも其の表に住居いたす相撲の行司で、相撲膏《すもうこう》を売る式守伊之助《しきもりいのすけ》に頼んで書いて貰う事でありますから、伊之助に委細のことを話して右の願書を認めて貰い、家主同道で恒太郎が奉行所へお慈悲願に出ました。今日《きょう》は龜甲屋幸兵衛夫婦|殺害《せつがい》一件の本調というので、関係人一同|町役人《ちょうやくにん》家主五人組|差添《さしそえ》で、奉行所の腰掛茶屋に待って居ります。やがて例の通り呼込になって一同白洲に入り、溜《たまり》と申す所に控えます。奉行の座の左右には継肩衣《つぎかたぎぬ》をつけた目安方公用人が控え、縁前《えんさき》のつくばいと申す所には、羽織なしで袴《はかま》を穿《は》いた見習同心が二人控えて居りまして、目安方が呼
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