盆《くりぼん》で。
女「此方《こちら》へお掛けなさいまし」
幸「好《い》い景色だな、ちょうど今頃は好い景色に向う時だ」
女「はい、御緩《ごゆる》りとお休みなさいまし……おや、貴方《あんた》は橋本の幸《こう》さんじゃアございませんか」
幸「おや、これは御新造《ごしんぞ》さん……何うして貴方《あなた》が此処に」
女「誠にどうもお珍らしいたって久しくお目に懸りませんが、まア御承知の通りお上《かみ》も亡《なく》なりまして、私も此様《こん》な処で、お茶を売るまでに零落《おちぶ》れましたが貴方《あなた》はまア大層お立派におなりなすって、見違いますようで……おや由兵衞さん」
由「これは御新造《ごしんぞ》さん……これはどうも村上の御新造《ごしんぞう》さん、此処でお茶を売って居らっしゃるとは何様《どんな》探報者《たんぽうしゃ》でも気が付きません……どうしてまア」
女「どうもお恥かしくって……実は貴方《あんた》さんも御存じの通り、旦那様も彼《あ》ア云う訳になりましてねえ、仕方なく私ももう段々身体も悪し、微禄《よわり》まして[#「微禄《よわり》まして」は底本では「微碌《よわり》まして」]しまったから、何を内
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