れを渡ると直ぐ山田村、近道で其の小坂の処に庚申塚《こうしんづか》があります。そこまで来ると車を下《おろ》して、
峯「若衆《わかいしゅ》大きに御苦労だのう、骨が折れても急いで遣ってくんねえな、十時までに中の立場《たてば》まで往《い》こうじゃアねえか」
車夫「何しろ昨日《きのう》沢渡までの仕事で、甚《えら》くバアーテル[#「バアーテル」に傍点]から、女客《おんな》でも何うもとても挽けねえよ」
峯「挽けねえたってお前どうするんだ」
車夫「此処で若衆《わけえしゅ》暇ア貰いてえものだ」
峯「戯《ふざ》けちゃアいけねえじゃアねえか、此処まで来て、此処じゃア立場も無《ね》え、下沢渡へ別れ道の小口《こぐち》まで往《い》きねえな、彼処《あすこ》へ往《い》けば又一人や二人帰り車も居るだろうから、此処じゃア何うもしようがねえやな」
車「どうもしようがねえたって、挽けねえものア仕かたがねえ、今朝から渋川の達磨茶屋で疲れて寝て居たんだ、其処を帰《けえ》って又来たが、身体がバーテル[#「バーテル」に傍点]でどうも……」
峯「馬鹿にしちゃアいけねえ、そんなら何故中の条の木村屋で左様《そう》云わねえ、木村屋で挽けませ
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