やかた》が左様《そう》申しました、今日《こんにち》お着《つき》の事でございますから、折角世帯を持って是彼《これあれ》とお取り遊ばしても、もう好いお肴もございませんから、今晩だけはこれで御辛抱なすって、明日《みょうにち》は又宜しいお肴をお取り遊ばして」
由「宜しい」

        三十八

由「あなた湯へ這入っても一度《いちどき》に這入っちゃアいけません、私が伊香保で何度も這入って逆上《のぼ》せてね困りました、初めは面白いから日に七度も這入って鼻血が出ました」
幸「左様《そん》なに這入るから悪いや……お平椀《ひら》に奇妙な物が這入ってるぜ」
由「へえ、お平椀の下に青物が這入って麩《ふ》が切ってある、これは分った蕨《わらび》だ、鳥肉《とり》が這入って居る……お汁に丸まッちい茄子のお汁《つけ》は変だ……これは何んで」
幸「なにを」
由「皿に切ってありますが、これは東京で云えば鯛の浜焼が付くとか何とか云うので、何もなければ玉子焼だ、何だろうか、薄く切ったものが並んであるが、東京の者と見て気取りやがったんだ、何だかこれを一つ食《や》って見よう……婆さん灯火《あかり》を早く此処へ持って来て……
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