ければなりませんよ、御近所に原與左衞門《はらよざえもん》も居りますから、誰《たれ》か解るものを頼んで、体能《ていよ》く彼《あれ》を東京へ帰すとか、又は他《た》へ縁付けるとかして、話合いで別れなえといけませんぜ、先方《むこう》で君に惚れて何処《どこ》まで居る了簡か、又は出てえ了簡なのかそれは分りませんが、君も然う思っては最う添っちゃア居られますまい、岡目八目だが」
茂「いえ何うも御真実|辱《かたじ》けない、成程浮気稼業の芸妓《げいしゃ》だからちっとは為《し》ましょうけれども、私《わし》が大金を出して、多分の金も有る身の上では無いが、彼《あれ》の借財を返して遣り、請出した恩誼《おんぎ》も有るからよもや[#「よもや」に傍点]と思います、彼《あ》の時など手を合せて、私《わたし》は生涯|此地《こゝ》に芸妓を為て居る事かと思いましたが、貴方のお蔭で足を洗って素人に成れまして、斯《こ》んな嬉しい事は無い、時節が違うからべん/″\と何時までも芸妓をして居る心は有りませんと云って拝んだ事も有りますから、此の恩誼は忘れまいかと思いますが、何う為たら宜かろう……二人の悪事を見定め、何うかして松五郎と密通して
前へ 次へ
全281ページ中14ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング