へかゝると馬士《まご》が、
馬「もし旦那さん誠にねえお待遠《まちどお》だろうが、少しねえ荷イおろして往《ゆ》かなければなんねえ、貴方《あんた》おりて下さい、おりて何もねえが麦湯《むぎゆ》があるから緩《ゆっ》くりと休んで、煙草一服吸ってまア些《ちっ》とべい待って居ておくんなんしよ」
由「宜しい、じゃア下りるから、さア」
馬士「さアおりられやすか、腰イ抱いてやるから待ちなせえ」
由「大変《ていへん》だ、まるで病人の始末だねえ、あゝ腰がすくんであるけませんが……やア大層《ていそう》立派な家《うち》だが……おかしい、坂下から這入るとまるで二階下で、往来から真《すぐ》に二階へ入《は》いる家は妙で、手摺が付いてある……」
馬「嚊《かゝ》ア麦湯でも茶でも一杯上げろよ、中の条から打積《ぶっつ》んで来たお客様だ…」
由「打積んだは恐れ入った、まるで荷物の取扱いだ」
幸「向《むこう》に土蔵《くら》があって、此の手摺などの構えはてえしたものだ……驚いたねえ、馬方《むまかた》さんが斯ういう蔵持《くらもち》の馬方さんとは、此方《こっち》は知らぬからねえ、失礼な事をいいましたが、実に大したお住居《すまい》で、二階
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