したは何故か」
市「はい、私《わし》打落《ぶちおと》したって、私を打殴《ぶちなぐ》るから私も先の相手を打落しやした」
巡「コラ、仮令《たとい》其の方を撲《ぶち》打擲《ちょうちゃく》を致したにもせよ人を打擲するのみならず、此の谷川へ投落すと云う理由《わけ》はあるまい、乱暴な事をして、えゝこれ、派出へ来なさい」
市「私《わし》そんなとけえ往《い》くのは厭だねえ」
巡「これ、厭と云うて済もうか、直《すぐ》にさア来なさい」
市「私《わし》は派出などへ何の科《とが》があって私|参《めえ》るのだね」
巡「コラ分らぬ奴じゃ、これへ二人の者を打込《うちこ》んだではないか」
市「打込《ぶちこ》んだと云って、先で己《おら》に打《ぶ》って掛るから己だって黙っては居《お》られねえから、手エひん捻《ねじ》って突いたら、向うの野郎逆蜻蛉を打《う》って落《おっこ》ちたので、私《わし》が打落《ぶちおと》したのではねえ」
巡「じゃアから分らぬ事を云わんで派出へ参れ」
市「派出てえ何処《どけ》え」
巡「屯所《とんしょ》へ参れ」
市「屯所たってお屯様《たむろさま》へ呼ばれる私《わし》罪はなえ」
巡[#「巡」は底本では「市」
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