からの騒ぎでございます。
兼「何《ど》うするんだよ、何処《どこ》へお金を遣ったんだよ」
長「何処へって遣っちまったよ」
兼「お金を預けた処《とこ》をお云いな」
長「預けたんじゃアねえよ、遣っちまったんだてえに、解らねえ、昨夜《ゆうべ》から終夜《よっぴて》責めてやアがって些《ちっ》とも寝られやアしねえ、己だって遣りたくはねえが、人が死ぬってえんだ、人の命に換《け》えられるけえ」
兼「ふん、人を助けるなんてえのは立派な大家《たいけ》の旦那様のする事だよ、娘が身を売ってお前の為に百両|拵《こしら》えてくれたものを、ムザ/\他人《ひと》に遣っちまうてえ奴があるかえ本当に、何処《どっ》かへ金を預けて置いて、又|賭博《ばくち》の資本《もとで》にしようと思って、本当に其の金はどうしたんだよ、何処へ遣ったんだよう」
長「己だって遣り度《た》くはねえ、余《あんま》り見兼たから助けたんだ」
兼「ふん、見兼て助ける風《ふう》かえ、足を掬《すく》って放り込むだろう」
長「誰が放り込む奴があるものか」
とグズ/\いつている処へ、
主人「ハイ御免下さいまし」
長「おゝ、無闇に開けちゃアいけね
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