る不動様へでも何《な》んでも、お線香を上げてくれと、男泣きに泣きながら頼みましたが、旦那さまえ、何うか店の傍《わき》へ不動様を一つお拵《こしら》えなすッて」
主「何んだ馬鹿ア云って……コーと角海老というのは女郎屋さんだ、其処《そこ》へ往ってお久さんという十七になる娘が身を売ったかと聞けば、それから知れるが、私《わし》は頓《とん》と吉原へ往った事がないのだ、斯《こ》ういう時には誠に困る、店のものも余《あんま》り堅いのは斯ういう時に困るな、吉原へは皆《みん》な往った事がないからのう、平助どんなぞも堅いから吉原は知るまい」
平「エヽ角海老てえ女郎屋《じょうろや》は京町の角店《かどみせ》で立派なもんです」
主「お前吉原へ往ったのかえ」
平「此間《こないだ》三人で…イエ何《な》にソノ」
主「ごまかして時々出掛けるね、併し今夜は小言を云いません、夜更《よふけ》の事だから、向後《きょうご》たしなみませんといけませんよ」
と別に小言もなく引けました。
八
翌朝《よくあさ》主人は番頭を呼んで何かコソ/\話を致しましたが、やがて番頭の平助は何《いず》れへか飛んで往《ゆ》き
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