《いた》の間《ま》に留桶《とめをけ》を置いて洗つてゐる年輩《ねんぱい》の人が、御近辺《ごきんぺん》のお心安《こゝろやす》い方《かた》と見えて言葉をかけ、甲「お目出度《めでた》うございます。乙「はい、お目出度《めでた》うございます。甲「昨日《さくじつ》は御年頭※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]《ごねんとうまは》りでございましたか。乙「いやもう草臥《くたび》れて……年《とし》を老《と》つてはいけませぬ、実《じつ》にがツかりしました。甲「へー御遠方《ごゑんぱう》をお歩きでしたか。乙「えゝ初《はじ》め宅《たく》を出まして、それから霊南坂《れいなんざか》を上《あが》つて麻布《あざぶ》へ出ました、麻布《あざぶ》から高輪《たかなわ》へ出まして、それから芝《しば》へ帰《かへ》つて来《き》て、新橋《しんばし》を渡り、煉瓦通《れんがどほ》りを※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]《まは》りまして、京橋《きやうばし》から日本橋《にほんばし》から神田《かんだ》へ出ましてな、下谷《したや》から浅草《あさくさ》を※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]《まは》つて、それから貴方《あなた》、本郷台《ほ
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