んがうだい》へかゝりました、それから牛込《うしごめ》へ出まして、四谷《よつや》から麹町《かうぢまち》を※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]《まは》つて帰《かへ》つてまゐりまして、いやもうがつかり致《いた》しました。と話をしてゐると、湯の中で、甲「どうしたい昨日《きのふ》は。乙「どうも草臥《くたび》れたつてねえサ、ひどい草臥《くたび》れやうをしたぜ。甲「どうしたえ。乙「どうしたつて無《ね》えぢやア無《ね》えか、昨日《きのふ》は年始※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]《ねんしまは》りだ、朝《あさ》家《うち》を出て霊南坂《れいなんざか》を上《あが》つて、麻布《あざぶ》へ出たんだ、麻布《あざぶ》から高輪《たかなわ》へ出て、それから芝《しば》へ帰《かへ》つて来《き》て、新橋《しんばし》を渡り、煉瓦通《れんがどほ》りを※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]《まは》つて神田《かんだ》へ出て、下谷《したや》から浅草《あさくさ》へ出たらう、それから本郷台《ほんがうだい》へ上《あが》つて、牛込《うしごめ》へ出て四谷《よつや》から麹町《かうぢまち》へ出て帰《かへ》つて来《き》た、いやもうがつかりした。と云《い》ふのを板《いた》の間《ま》にゐる前《まへ》の人が聞いて、「誰《だれ》だ己《おれ》の真似《まね》をするのは。と云《い》つて腹を立て、其男《そのをとこ》を引摺《ひきず》り出して打《ぶ》ん殴《なぐ》つたところが、昨日《きのふ》自分の連《つ》れて歩いた車夫《しやふ》でございました。
[#地から1字上げ](拠武陽生筆記)



底本:「明治の文学 第3巻 三遊亭円朝」筑摩書房
   2001(平成13)年8月25日初版第1刷発行
底本の親本:「定本 円朝全集 巻の13」世界文庫
   1964(昭和39)年6月発行
入力:門田裕志
校正:noriko saito
2009年6月19日作成
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