づか》り、其上《そのうへ》珍《めづ》らかなる熊《くま》の皮を頂戴《ちやうだい》しましたよ、敷皮《しきがは》を。甚「へえーアノ何《なん》ですか、蟇《ひきがへる》を。真「蟇《ひきがへる》ぢやアない、敷皮《しきがは》です、彼所《あれ》に敷《し》いてあるから御覧《ごらん》なさい。甚「へえー成程《なるほど》大きな皮だ、熊の毛てえものは黒いと思つたら是《こ》りア赤《あか》うがすね。真「いま山中《さんちゆう》に接《す》む熊とは違つて、北海道産《ほつかいだうさん》で、何《ど》うしても多く魚類《ぎよるゐ》を食《しよく》するから、毛が赤いて。甚「へえー、緋縅《ひをどし》の鎧《よろひ》でも喰《く》ひますか。真「鎧《よろひ》ぢやアない、魚類《ぎよるゐ》、さかなだ。甚「へえー成程《なるほど》、此処《こゝ》に弾丸《てつぱうだま》の穴か何《なに》かありますね。真「左様《さやう》さ、鉄砲傷《てつぱうきず》のやうだね。甚「何《ど》うも大変《たいへん》に毛が長《なが》うがすな。真「うむ、牛熊《うしぐま》の毛はチヤリ/\して長いて。甚「ア想出《おもひだ》した、女房《にようばう》も宜《よろ》しく。
底本:「明治の文学
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