た。又|災《わざわい》も三年置けばと申す譬《たと》えの通りで、二十五歳《にじゅうご》の折に逃げて来ました其の時に、大の方は長くっていかぬから幾許《いくら》かに売払ったが、小が一本残って居りましたから、まさかの時の用心にと思って短かいのを一本差して、恐々《こわ/″\》藤屋七兵衞の宅へ帰って来まして、
永「さア早く急げ/\」
 と云うので、お梅は男の様な姿に致しまして、自分も頭にはぐるりと米屋冠《こめやかぶ》りに手拭を巻き付けて皆|形《なり》を変えましたが、眞達も其の後《あと》からすっとこ冠りを致し、予《かね》て袈裟文庫を預けて有ったが、これはまた何処《どこ》へ行っても役に立つと思って、その文庫をひっ脊負《しょ》って、せっせと逃出しました。これから富山《とやま》へ掛って行《ゆ》けば道順なれども、富山へ行くまでには追分《おいわけ》から堺《さかい》に関所がございますから、あれから道を斜《はす》に切れて立山《たてやま》を北に見て、だん/″\といすの宮から大沓川《おおくつがわ》へ掛って、飛騨《ひだ》の高山越《たかやまごえ》をいたす心でございますから、神通川《じんつうがわ》の川上の渡しを越える、その
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