ゝえ大した雨でもございません、どうと来るようで又あがりそうでございますよ」
永「そうかえ、檀家の者も来ぬから一人で一杯遣って居たのよ、おゝ着物がもう出来《でけ》たか、好《よ》う出来た」
梅「お着悪《きにく》うございましょうが……お着悪ければ又縫直しますから召して御覧なさいまし」
永「好う出来《でけ》た、一盃|酌《つ》いで呉れんかえ、何《なん》ぼう坊主でも酒の酌《しゃく》は女子《おなご》が宜《え》え、妙なものだ、出家になっても女子は断念出来ぬが、何うも自然に有るもので、出家しても諦められぬと云うが、女子は何うも妙に感じが違う」
梅「旨いことを仰しゃること、あなた此の間の松魚節味噌《かつおぶしみそ》ね、あれは知れませんから又|※[#「赭のつくり/火」、第3水準1−87−52]《に》て来ましょう」
永「あれか、旨かった、あれ宜《え》えのう……一盃遣りなさい」
と一盃飲んでお梅に献《さ》す、お梅が飲んで和尚に献す。その中《うち》酒の酔《えい》が廻って来まして、
永「眞達は帰りませんわ、大門《だいもん》まで遣ったが、お梅はんお前もまア一昨年から前町へ来て、彼《あ》のようにまア夫婦暮しで宜《よ》
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