たわ》けた事を云うな、武士たる者が女房を他人《ひと》に取られて刀の手前此の儘《まゝ》では済まされぬから、両人の居処《いどころ》へ踏込み一刀に切って捨て、生首を引提《ひっさ》げて御両親様へ家事不取締の申訳をいたすから案内致せ」
傳「是は何うも飛んだ事を云いました、是は何うも恐入りましたな、外様《ほかさま》なれば云いませんが、貴方様でございますから内聞に出来る事と心得て飛んだ事を申しました」
重「飛んだ事と申して捨置かれるものか、行《ゆ》け/\」
と云われ真青《まっさお》になってぶる/\顫《ふる》えて傳助地びたへ踵《かゝと》が着きませんで、ひょこ/\歩きながら案内をするうちに、団子屋のきんの宅の路地まで参りました。
重「これ/\其処《そこ》に待って居れ、町家《ちょうか》を騒がしては済まぬから」
傳「何うかお手打ちは御勘弁なすって」
重「黙れ、提灯を消してそれに控え居れ」
傳「へえー」
重二郎は傳助を路地の表に待たして、自分一人で裏口の腰障子へぼんやり灯《あかり》がさすから小声で、
重「おきんさんの宅は此方《こちら》かえ」
と云うと二階に三人で相談をして居りましたが、
きん「はい魚政《
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