れ、踏外《ふみはず》して薄縁を天窓《あたま》の上から冠《かぶ》ったなりどんと又市は揚板の下へ落ちる、処へ得たりとお繼は、
繼「天命思い知ったか」
 と上から力に任して抉《こじ》ったから、うーんと苦しむ。すると嬉しがって左官の宰取が来まして
宰取「この野郎/\」
 と無闇に殴る処へ、人を分けて駈けて来たのは白島山平。
山「巡礼の娘お繼と申す娘は何処《どこ》に居りますか」
繼「あゝお父様《とっさま》」
山「おゝ/\/\討ったか」
繼「お父様宜く来て下すった」
山「それだから申さぬ事じゃア無い一人で……怪我は無いか」
繼「いゝえ怪我は致しませぬ、首尾|好《よ》く仕留めました」
山「あゝそれは感服、敵の又市は何処にいる」
繼「縁の下に居ります」
山「縁の下に……じゃア縁の下へ隠れたか」
繼「いゝえ只今落ちましたから其処《そこ》を上から突きましたので」
山「うん然《そ》うか、やい出ろ」
 と髻《たぶさ》を取ってずる/\と引出しますと、今こじられたのは急所の深手、
又「うーん」
 と云うと田月堂の主人《あるじ》はべた/\と腰が抜けて奥へ逃げる事も出来ません。山平が是を見ると、地面まで買ってくれた田
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