又市と出遇《であ》いますると云う、これから愈々《いよ/\》巡礼敵討のお話でございます。

        六十

 さて図らずも白島山平が敵の手掛りを聞きましたから、お繼が帰って来るのを待って話を致すと、飛立つ程に悦び、
繼「少しも早く土屋様のお屋敷へ参って」
 と云うを、
山「いや未だ確《しか》と認めも付かぬうち、先《せん》の様に人違いをしては成らぬ、人には随分似た者もあり、顔に疵のある者も有るから、先達《せんだっ》ての人違いに懲《こ》りて、これからは善《よ》く/\心を落着け、確と面体《めんてい》を認めてから静かに討たんければ成らぬ、殊に汝《そち》は剣術が出来てもまだ年功がなし年も往《い》かぬから其の痩腕《やせうで》では迚《とて》も又市には及ばぬ、私《わし》も共に討たんでは成らぬ、殊にお照の為にはお兄様《あにいさま》の仇《あだ》であり、年頃心に掛けて居《い》る事ゆえ、お前一人で討つわけには往かぬに依って、宜く心を静めて又市が下屋敷へ参る時に認めて、私が討たせるから」
 と言聞《いいき》けて置きましたが、お繼は是を聞いてからは何卒《どうか》早く又市を見出したいと心得、土屋様の長屋下を御
前へ 次へ
全303ページ中280ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング