を……」
 此の時女房は裏の井戸端で米を磨《と》いで居りました。じゃ/\/\/\と米を磨いで居り、余程|家《うち》から離れて居りまするから、右の騒ぎは聞えませんだったが、大声で呼びましたから、何事かと思って慌《あわ》てゝ家へ這入って見ると右の始末、
照「おや何う…」
太「何うたって今狼藉者[#「狼藉者」は底本では「狼籍者」]が這入ったのだ、何分暗くって分らぬから早く燈光を点《つ》けて来い」
 と云われて、女房は慌てながら火打箱でかち/\/\/\。

        五十六

 お照は火を打つ所が、慌てるから中々|点《つ》かないのを漸《ようよ》うの事で蝋燭を点《とも》して、
照「何うしたの」
 と見ると若い男が一人血に染って倒れて居り、また一人の娘を膝の下へ引敷いて居りますから。
照「こりゃアまア何でございます」
太「何だって今此の狼藉者[#「狼藉者」は底本では「狼籍者」]が這入ったのだ…さこれ能《よ》く面体《めんてい》を見ろ、人違いを致すな、己は人を害《あや》めた覚えも無し、敵と呼ばれて打たれる覚えも無い、これ面《おもて》を見ろ、心を静めて面を見ろ」
 と云われたから、山之助が漸うに起
前へ 次へ
全303ページ中255ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング