百「はい……おや巡礼どんが出掛けて来た」
婆「なにこれア己《おら》が孫だよ」
百「へえ婆さま、斯《こ》んな孫が有ったかえ」
婆「少《ちい》さい時から他《わき》へ往ってたから、貴方《あんた》ア知んなえが」
百「そうかねえ……額に疵が有りますよ」
繼「じゃア年は何でございますか、四十ぐらいに成りますか」
百「えゝ然うさ、四十もう一二ぐらいであろうか」
繼「元は榊原の家来に相違有りませんか」
百「えゝ然ういう話だなえ」
これを聞くと山之助が出て来て、
山「只今蔭で承まわりましたが、その男は顔に疵がございまして、もとは侍で、一旦出家いたして、その還俗した者というお話でございましたが、其の名前は水司又市と申しますか」
百「おや/\/\また巡礼どんが」
婆「是も己《おら》がの孫だよ」
百「婆さま、お前《めえ》はまアえらく孫が幾人《いくたり》も有るなア……然うだ、己《おら》アもう忘れたが、アんたア[#「アんたア」はママ]云う通りの名前だっけ、あんたア宜く知ってるなア」
繼「それだよお婆さん」
婆「まあ然うかえ」
繼「本当だよ、観音様の御利益は有難いもの、本当に豪《えら》いもんだねえ」
百「えゝそり
前へ
次へ
全303ページ中247ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング