、奉公に遣った所が、職人の事だから道楽ぶちゃアがって、然《そ》うして横根を踏出しやアがって、婆《ばア》さま小遣を貸せと云うから、小遣は無いと云うと、それじゃア此の布子《ぬのこ》を貸せと云ってはア何でも持出して遣い果した後《あと》で、何うにも斯うにも仕方が無いが、まア真実の甥《おい》だからと云って文吉も可愛がって居たゞが、嫁の前《めえ》も有るから一寸《ちょっと》小言を云うと、それなり飛出しやアがって、丁度三年越し影も形も見せないから、本当に仕方が無いやくざな野郎になってしまったが、何処へ往《い》きやアがったか、能《よ》く女郎《じょうろ》を買って銭が欲しい所から泥坊に成る者も有るからのう婆様《ばあさま》、と云われる度《たび》に胸が痛くて寧《いっ》そ放《と》ん出さないば宜かったと[#「宜かったと」は底本では「宜かつと」]思ってなア、若《も》しや縄に掛って引かれやアしないかと心配して忘れる事はないだ…何ういう訳だい、巡礼に成って此処《こけ》え来たのは」
繼「はい実はこれ/\/\/\でございまする」
 と涙ながらに、三年|前《あと》の越中の高岡から旅立を致しましてと細かに話をした時は、婆さんも大
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