れども、まア用の無いやくざ婆《ばゝあ》だから早く死にたい、厄介のないように眠りたいと思ってるだが、斯うやってまア孫が尋ねて来て顔が見られると思えば、生きて居て有難かっきア……父《ちゃん》は達者かえ」
五十三
繼「はいそれに就いてはお婆さん種々《いろ/\》訳が有って来ましたが、何卒《どうか》早く兄さんに逢いたいものでございます」
婆「おゝ正太郎かえ、あの正太郎には痩《やせ》るほど苦労をしただ、その訳と云えば、あの野郎を連れて来て堅気《かたぎ》の商人《あきゅうど》へ奉公に遣り、元の様な大《でか》い家《うち》を拵《こしら》えさせたいと思って奉公に遣ると、何処へ遣っても直《すぐ》に駈《か》ん出して惰《なま》けて仕様がない、そうしてる中《うち》に己《おら》あ家でこれ些《ちっ》とべい土蔵という程でもないが、物を入れる物置蔵ア建てようと云って職人が這入《はえ》ってると、その職人と馴染《なじみ》になって職人に成りたいと云うから、それじゃア成んなさいと云うので、京橋の因幡町《いなばちょう》の左官の長八《ちょうはち》と云う家へ奉公に遣っただ、左官でも棟梁になりゃア立派なもんだと云うから
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