はい何だえ」
繼「あのお百姓の文吉さんのお宅は此方《こちら》でございますか」
男「あい文吉さんは此方《こっち》だが、何だえ」
繼「あのお婆さんはお達者でございますか、若《も》しお婆さんは亡くなって、伯母さんでございますか」
男「婆《ば》アさま/\巡礼どんが二人来て、婆アさまに逢いたいと云って立ってるだ」
婆「はい何方《どなた》でございます、巡礼どんかえ、修行者が銭を貰いに来たら銭を上げるが宜《よ》い、知ってる人が尋ねて来たかえ」
繼「御免なさいまし、貴方が此方《こちら》のお婆さんでございますか」
婆「はい私《わし》が此処《こゝ》の婆《ばゝ》アでございますよ、あんたア誰だかねえ」
繼「あなたお忘れでございますか、私《わたくし》は湯島六丁目藤屋七兵衞の娘繼と申す者でございます」
婆「あれや何うも魂消《たまげ》たとも、何うも巨《でか》く成ったアなア、まア宜く尋ねて来たアなア、巡礼に成って来ただかえ」
繼「はいお婆さんに逢いたいと思って遠隔《とお/″\》の処を参りました」
婆「まア宜く尋ねて来たよ、是やア誰か井戸へ行って水を汲んで来て……足い洗って上りなよ……おう/\草鞋|穿《ばき》で……汝《
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