前から云いなさい」
繼「まアお前さんからお云いなさいな、打明けて云やア私を見棄てないという証拠になるから」
山「でも一大事を云ってしまってから、お前がそれじゃア御免を蒙ると云って逃げられると仕様が無いからねえ」
繼「私は女の口から斯ういう事を云い出すくらいだから、そんな事は有りませんよ、本当にお前さんを力に思えばこそ、死身《しにみ》に成って、亭主と思って、お前さんの看病をしました」
山「誠に有難う、そう云う訳なら私から云いましょうがねえ…実はねえ…まアお前から云って御覧」
繼「まアお前さんから仰しゃいな」
山「うっかり云われません……全体其のお前は何だえ」
繼「私は元は江戸の生れで、越中高岡へ引込《ひっこ》んで、継母《まゝはゝ》に育てられた身の上でございます…誰《たれ》か合宿《あいやど》が有りやアしませんか」
山「あの怖い顔の六部が居ましたが、彼奴《あいつ》が立って行って誰《だれ》も居ないよ」
繼「実は山之助さん、私は敵討《かたきうち》でございますよ」
山「えゝ敵討だと、妙な事が有るものだねえ、お繼さん私も実は敵討で出た者だよ」
繼「あらまアよく似て居ますねえ」
山「本当によく似てるが
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