から、支度をして相当の処へ縁付けたいと思って居るのじゃ」
萬「それははや有難い事でござります、それ程に思召《おぼしめ》して下さりますとは、何とお礼の申し様もないでござります、はい/\何うも有難い事でござります」
和「就いてなア彼奴《あいつ》は何ういう訳だか知らぬが、この高岡に永く居る気は無いと見えてなア遠くへでも行《ゆ》く心が頻《しき》りと支度をして、草鞋《わらじ》を造る処へ行って、足を噛《く》わぬ様に何うか五足|拵《こしら》えて呉れえとか、菅《すげ》の笠を買うて来て、法達《ほうたつ》に頼んで同行二人《どうぎょうににん》と書いて呉れえとか、それから白の脚半《きゃはん》も拵え笈摺《おいずる》も拵えたから、何でも西国巡礼にでも出るという様子でなア」
萬「へえそれは/\何で其様《そん》な馬鹿な事を致しますえ」
和「何ういう訳か知らぬが、まア此処に居るのが厭《いや》なので、並の女では旅が出来ぬから、巡礼の姿に成って故郷の江戸へでも行《い》こうと云う心かと思うが、それに就いても預かって居るのは心配じゃから、お前に此の事を話すのじゃ」
萬「こりゃアとんだ事で、何うも此方様《こなたさま》の御恩を忘れ
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