手を取って引寄せまする。この時は腹が立ちますから殴付《はりつ》けてやりたいと思うが、そこは命を助けられた恩義が有るから、余り無下にしても愛想尽《あいそうづか》し気の毒と存じまして、おやまは何うしようかともじ/\して居ります。
三十九
又市は増長して無理に引付け、髯《ひげ》だらけの頬片《ほうぺた》をおやまに擦《こす》り付けようとする処《ところ》へ、帰って来たは惠梅に山之助でございますが、山之助は気の毒だから後《あと》へ下《さが》る。惠梅は腹を立って、麁朶《そだ》を持って二三度続けて殴ったから胆《きも》を潰《つぶ》して、
又「いや帰ったか」
梅「まことに呆れてしまって……おやまさん、さぞ腹が立ちましたろう、私も恟《びっく》りしました、山之助さんにも誠にお気の毒で、お前さん何をするのだよ、おやまさんにさ」
又「誠に困ったなア、今御馳走が出たので一杯|遣《や》った処《ところ》、つい酔うてそのな、酒を飲めば若い女子《おなご》に冗談をするは酒飲《さけのみ》の当り前だ、突然《いきなり》打《ぶ》ちやアがって、打たんでも宜《え》いわ」
梅「おやまさんお腹も立ちましたろうが堪忍して下
前へ
次へ
全303ページ中176ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング