の味を覚えて、真にあゝ云う人ならと先方《むこう》から惚れて、伯父さん嫁に遣《や》ってようと先方から云うよ」
典「うーん然《そ》う旨く往《い》くかえ」
傳「それは大丈夫いきますとも」
 とそれから様子を窺《うかゞ》って居ると、八月の十八日は白島村の鎮守の祭礼で、今日は屹度来るに相違ない、何うかして担ぎ出そうと昼から附けて居ると、昼の中《うち》は用が有るから物見遊山にも出ず、不動様へお参りに行《ゆ》くだけで、夜《よ》に入《い》って山之助と二人で、祭礼だから見て来ようと云って来ると、突然《だしぬけ》に竹藪の茂みから駈出して来て、おやまを担ぎ上げて、どん/\/\/\林の小路《こみち》へ駈上りました事でございますから、山之助は盗賊《どろぼう》……勾引《かどわかし》……と呼んで跣足《はだし》で追掛《おっか》けると山之助は典藏に胸をどんと突かれましたから、田の中へ仰向《あおむけ》に転がり落ちます。其の中《うち》にどん/\と路《みち》を走り、葉広山まで担いで駈上ります。折から雨がざあー/\と降出して来ましたが、その中をどん/\滑る路を漸々《よう/\》と登りまして芝原へおやまを引据《ひきす》えて、三人で
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