ら哀れな事と思って、打たずに帰って来ましたが、四足《よしあし》でせえも、あゝ遣《や》って子を打たれゝば、うろ/\して猟人《りょうし》の傍《そば》までも山を下って探しに来るのに、人間の身の上で唯《たっ》た一人の忰を置いて遁《に》げると云うは、あゝ若い時分は無分別な事だった……のう婆さん……昨宵《ゆんべ》婆《ばゞあ》と話をして居りましたが、まことに有難うございます、亡《なく》なりました日が知れますれば、線香の一本も上げ、念仏の一つも唱えられます、有難うございます、あゝ誠に何うも……何と云ったって一人の子にも逢えず、あなたが去年お出で下すってお話ですから、雪でも解けたら尋ねて行《ゆ》こうと存じて、婆さんとも然《そ》う申して居りました」
清「えゝ私《わし》ゃもう直《そご》に帰りましょう、まことに飛んだ事をお耳《めゝ》に入れてお気《け》の毒に思いますが、云《え》わぬでも成りませんから詮方《しょうこと》なしにお知らせ申した訳で、能《よ》くまア念仏ども唱えてお遣《や》りなされ、私ゃ帰りみすから」
又「じゃア帰りには屹度《きっと》お寄《より》なすって」
清「はい屹度《けっと》寄って御厄介に成りみすよ、
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