、かに寺まで往《ゆ》く処《ところ》の関所は金さえ遣《や》れば越えられたものでござります。漸《ようや》く金で関所を越えて、かゞぞへ出て小豆沢《あずきざわ》、杉原《すぎはら》、靱《うつぼ》、三河原《みかわばら》と五里少々余の道を来て、足も疲れて居ります。殊《こと》に飛騨は難処《なんじょ》が多くて歩けませんから、三河原の又九郎《またくろう》という家に宿を取りました。
永「まア此処《こゝ》は静かで宜《よ》い、殊に夫婦とも誠に親切な者であるから、暫《しばら》く此処に足を留めようじゃアないか、おれも頭の毛の長く生えるまでは居なければならぬ、此処なれば決して知れる気遣いは有るまい、汝《てまえ》も剃《そり》たて頭では青過ぎて目に立つから、少し毛の生えるまでは此処にいよう、只少し足溜《あしだま》りの手当さえすれば宜い、併《しか》し此処には食い物が無いが、これから古河町《ふるかわまち》へ往《ゆ》けば米も有るから米を買って、又酒や味噌醤油などの手当をして」
梅「それじゃア然《そ》うしてお呉んなさい」
と云うので多分に手当を遣《や》って、米や酒醤油を買いに遣るから、是は大したお客様と又九郎|爺《おやじ》が悦
前へ
次へ
全303ページ中104ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング