て自分も一つ取つて、乞「有難《ありがた》う存《ぞん》じます……大仏餅《だいぶつもち》と申《まう》すものは雅《が》がありまして、お茶受《ちやう》けには結構《けつこう》なお菓子でございますなア……どうも思ひ掛《が》けないことで……とオロ/\泣きながら、口の中でムク/\噛《か》んで居《を》りましたが、お茶がプツと出て来《き》たから、グツと嚥込《のみこ》むと餅《もち》が咽喉《のど》へ閊《つか》へた。幸「(苦悶《くもん》)グツ/\/\。主「おや/\何《ど》うかなすツたか。幸「(苦悶《くもん》)グツ/\/\……モヽヽヽ餅《もち》が……。主「餅《もち》が閊《つか》へたか……さア大変《たいへん》だ……泣きながら喫《たべ》るから閊《つか》へるのだ困つたものだ……お待ちなさい……此子《このこ》が心配する……私《わし》が脊《せなか》を叩《たゝ》いて上《あ》げる……宜《よ》いかい……失礼《しつれい》だが叩《たゝ》きますよ。と握《にぎ》り拳《こぶし》で二度《ふたつ》叩《たゝ》くと、グツと餅《もち》が通《とほ》つたが鼻の障子《しやうじ》が抜《ぬ》けてしまつた。乞「フガ/\/\……有難《はひはほ》うほざいます有難《
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